2024年1月8日月曜日

生成A.Iが生成するのは◯◯な現代

 Xを見ていると、とても上手い絵を描く人たちは生成A.Iがとにかく大嫌いなようで、「それっぽい絵」や「A.Iを使いました」というポストでずいぶんと論争や炎上があったりするようです。絵を描いて発表するというのも、なにかきな臭い行為になりつつありますね。

いらすとやさんより
A.Iが文章を生成してます


僕も今は一生懸命(でもないが……)絵の描き方を勉強している段階ですが、下手を通り越して前衛的ですらある自分の絵よりも、コマンドを与えるだけでこちらの意図してる雰囲気をリアルに再現・生成してくれるなら、A.Iはある種救世主のように思えます。使ったことはないですけども。

生成A.Iが絵を描く人たちから蛇蝎のごとく嫌われているのは、要するに「誰かの絵を学習する」というのがいわば「パクリ」にあたるからで、絵の上手い人、独創的な人ほどこの危機感が強いのは解ります。このままでは将来的に仕事を奪われる可能性だって現実的にある訳ですし。
去年のハリウッドのストライキも「脚本家や俳優の仕事を奪うようなA.Iの使用を規制せよ」と、そのものズバリの物言いが含まれています。これも同じ危機感でしょう。

生成A.Iは他にも、EUでは「A.Iの学習元を開示しなければならない」という法案が提出されていますし、New York Timesは、A.I学習用に記事や写真を使うことを禁止しています。おそらく、他の新聞社や出版社も追随するでしょう。

アメリカの著作権局は生成A.Iの作品は著作権で保護しない方針で、アメリカやイギリスではA.Iが生み出したモノは特許が取れない事になっています。

人類が産み出してきた様々なものを人間より圧倒的に早く学習し、それなり以上のモノを生成できるからこそ、こういった対A.I包囲網は築かれていく訳で、単純に「賢い相棒ができた」とならないところが過去に夢見てきた「A.Iのある世界」とは大いに違うところです。

ところで、こういった「画像や著作・記事」という著作権で保護されたものへの学習に対して、A.I開発会社が「対価を支払うのがどうしても嫌だ」と言ったとしたら、どうなるでしょうか?

僕はそれによって、ちょっと面白い未来が来るような気がします。

なぜかと言うと、今までのようにグレーゾーンを装って無断で学習させる事が出来なくなった場合は、とっくの昔に著作権の切れた画像や文章を使って学習させるのではないかと思うからです。というか、そうして欲しい。面白そうだから。

基本的には70年以上前のものに著作権は存在しない。

そういったモノをガンガン学習することによって、今の世の中から見ると、少し古臭い、言い回しが古い、時代がかった、「とにかく今風ではない何か」が世の中に忽然と「最新のもの」として現れるのだ。これは面白い!

これはレトロ・フューチャーや歴史改変SFが目の前に現実のモノとなって現れたようなインパクトがあるに違いない。

しかもこれは「蘇った過去」や「あるはずだった未来」ではなく、「70年以上前の過去が入り混じった完全に最新の今」なのだ。こんなに混乱する「今」はないだろう!

そうなった時、もしかすると僕らは生成A.Iが生んだ文章をまともに読めないかも知れない。

言い回しが古い、語彙が古い、でも話題は最新。古い知識で再構築された古めかしい最新の単語もあるだろう。そんな文学作品を読んでみたいもんだ(アイスランドみたいに言語が極端に長期間固定化しているところは、こういった楽しみ方はないだろうけども)。

でも、芸術や服飾は、案外と古いも新しいもなにも思わないかも知れないな。あれは、案外循環してるし。あっ、でも、ちょんまげとか新しい形で復活するかも知れない。

とまあ妄想は尽きないが、著作権を厳格に守った生成A.Iが作る未来は、実は過去のモノ、というお話。

そんな未来が来ることを僕は面白がって待ってます。


0 件のコメント: