2022年5月25日水曜日

飲み終わったら終わるラジオ(28) 「背伸び」

 まずはこの10分程の動画を見てやって下さい。


今回も後輩芸人の福人(ふくんちゅ)君のYouTube番組にゲスト出演してました。

今回の一文字は「せ」、そこから「背伸びしますか」と。私がマジシャンの「背伸び」について告発したり、宣材写真の話などをしてます。
(「続きを読む」以下、およそ1,890文字)


動画でも言ってますが、こういう業界というのは、ぐんぐん「背伸び」をしないといけない訳で、「背伸び」をしてない事を是とするのは本当は良くないんですよ。

「背伸び」とは、要するに自己プロデュース能力でもあるので、ギリギリごまかせるところまでは精一杯「背伸び」をしないといけないんです。こういう仕事を生業にするのであれば特に。
プロフィールだって、ギリギリを攻めないといけない訳です。
完全な嘘じゃないなら、攻めたプロフィールを書くべきです。

でも僕には軽いトラウマがあって、自分ではなかなか攻めたプロフィールが書けないんです。バカバカしいんですが、そのトラウマの顛末を書いておきます。

僕がマジックの業界に本格的に進み始めた時と、WWWが一般的になって誰でも「ホームページ」を持てるようになった時期は、おおよそ重なっています。
その時期、マジシャン達が続々と開設し始めていた各々のホームページを見たら、まあプロフィールが盛り過ぎるぐらい盛ってある。中には誇大表現を通り過ぎて明らかな嘘まである始末。

「公式」とか「オフィシャル」と銘打ってあっても、「結局お前誰やねん?」が拭えないのがマジシャンの悲しいところで、その悲しさをカバーするために世間受けする「ド派手なプロフィール」が必要だったんでしょう。判ります。

これは「自分が世間に知られていない」、「マジックの大会の公式記録がネットにはない」を逆手にとった見事な作戦です。調べようがないから、読む人はプロフィールを鵜呑みにするしかない訳です。
正に発想がマジシャンです。「バレなければセーフ」理論。
名の通った芸人さんにはとても出来ない芸当です。

で、ここまでなら僕も別になにも思わなかったのですが、盛り盛りに盛ったプロフィールをたくさん眺めた後、ふと思ったんです。マジシャンのほとんどは事務所に所属しない個人事業主だなと。ホームページも当然、スタッフが作ってるように見せかけて本人が必死に書いているなと。

「あれだけ盛ったプロフィールや自分を持ち上げ褒め称えたキャッチコピーを、全部自分で書いてるんか……、え?」

と、そこまで考えた瞬間、急に恥ずかしくなってきたんです。

事務所の社長やマネージャーが盛ったプロフィールやキャッチコピーを書いても「なんかこそばゆいな」で済みますが、本人自らが書いてるということは「そう見られたい理想の自分像」を虚実ないまぜにしてプロフィールに記載してる訳です。これは恥ずかしい。よく自分で書けたなそんなの!

これに気が付いてしまってからは、かなり長い期間に渡って僕は自分のプロフィールが書けなくなってしまいました。

今では割り切って書いてますが、それでもなるべく客観的な事実になるように控えめに書いています。

本当はもっと「背伸び」して盛った方が良いんですけどね。
なかなかどうも恥ずかしいのです。


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「嘘もつき続けると本当になる」という言葉がありますが、盛ったプロフィールを書いた本人にこの現象が起こる場合があります。
と言っても、過去は変更のしようがありません。そう、本人の記憶が書き換わるのです。

例えば誰かが「プロフィールを盛ったAさん」に「Aさん、プロフィールに書いてある〇〇、あんなんなかったやん」と言ったとします。仲間内の会話なので暴露というような趣旨の発言ではありません。あくまでも洒落として指摘してるだけです。

ここで期待される「盛った人A」の返答は「あっはっは。そうやねん。でもあれ書いておくと仕事くるんやわ」という感じのものです。

ところが「盛った人A」は、真顔で「いや、あれはあったよ」とサラッと言ってそれ以上の追求をさせない態勢に入ります。

こういう訳の判らないプライドの高さがマジシャンにはあるのです。

でも、本人以外には完全にバレバレの嘘なんですけどね。
だから困るんですけど。

たくさんの嘘に囲まれて苦悩するテツローくん
(ここに登場する人達に特定のモデルはありません。絶対ありません!)


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宣材写真はとても苦手とするモノのひとつです。
出来たら撮りたくない。
元々写真を撮られるのが僕は嫌いなので。

この「飲み終わったら終わるラジオ」のサムネイルも、結局、笑顔になれなかったのであんな顔で写ってる訳で。
なんだかんだ言っても福人は笑顔は作れてますから、エライです。

僕の気に入ってたプロフィール画像は下の写真です。

お気に入りのプロフィール画像
左手がちょっとぎこちないけど


なにか表情に狂気を感じる。
そして、掲げているのは絞首刑用の結び方をしたロープ。

こういうのは「ゲンが悪い」のでプロフィール画像としては採用されないんです。
ま、当たり前と言えば当たり前なんですけど。


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