2022年5月9日月曜日

飲み終わったら終わるラジオ(26) 「カバとキリン」

 まずはこの14分程の動画を見てやって下さい。


今回も後輩芸人の福人(ふくんちゅ)君のYouTube番組にゲスト出演してました。

今回の一文字は「と」、そこから虎、さらにさまざまな動物の「移住した・移住しなかった」的な話へと。
(「続きを読む」以下、およそ2,000文字)


僕はカバが好きなのですが、これはなにも「うる星やつら3 リメンバー・マイ・ラブ」の影響ではなく、カバ園長こと故西山登志雄さんの教科書に載った著作からの影響です。

今のカバは、下手をするとサバンナ最強伝説にも名前が挙がるような怖い動物ですが、僕らが小さい頃は、カバはおとなしくておっとりしていて優しい、みたいなイメージで語られていた。

毎年6月4日の虫歯の日(虫歯予防デー)には、ニュース番組でカバが「キャベツをまるごと食べるシーン」と、それに引き続き「特性のでかい歯ブラシで歯を磨いてもらうシーン」が流れていた。
こういったシーンや、動物園でのあまり動かない様を見て、カバはでかい割にはおとなしくて人懐っこい動物なんだなと、当時の人々は考えていたのである。

もちろん「カバがひっくり返ってバカ」という言葉遊びもあったので、デカくて鈍くさい奴は、「おい、カバ」と遠回しに馬鹿と呼ばれたりもしていた。
このカバを軽く馬鹿にして良いという風潮は、言葉遊び以外にも吉本新喜劇の故原哲男さんの影響も多分にあったと思われる。ただし近畿圏内では、ですけども。

現在ではカバは「かなり神経質で凶暴な面もあり、走れば陸上でも水中でも相当なスピードを出せる上、アフリカで最も人的被害を出している獣である」という説明がつくため、猛獣のイメージもつきまとうようになってきている。

カバが昔のイメージで語られるのは、現在ではコビトカバぐらいなもんである。

カバ好きな僕としては、それはちょっと悲しい。


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サバンナいちの謎の生命体と言っても過言ではないキリン。

このジラフこと「キリン」という動物と、アジア圏に生息するとされている幻の聖獣「麒麟」は、キリンビールのラベルを見るまでもなく、まったく似ていないと思うのだが、なんとこれ、中国の皇帝が実在のキリンを見た時に「これ麒麟と似てるよね!」と言ったことでキリンと名付けられたのだ。

一体どこが似てたのだ?
顔はギリギリ似てると言えなくもないが……。

これ、ちゃんと側にいた重臣の誰かが「いや、どこがやねん!」とツッコまないとダメでしょ?知ってるんやから。

とにかく、この時の皇帝のボケによって、未だに日本ではこの動物のことをキリンと呼んでいるのである。

ちなみに本家の中国では皇帝崩御の後、「いやこれ麒麟ちゃうがな!」とツッコミが入って、今では長首鹿(長頸鹿:頸の長い鹿)と呼ばれているそうです。


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大阪に住んでいる僕にとって、キリンを間近に感じれた場所というのは、やはり「宝塚ファミリーランド」という事になる。

園内の動植物園で飼育されていたキリンは、本当に手が届くぐらいの距離感で展示されており、下から見上げればその巨躯をぞんぶんに観察する事が出来た。

あと、キリンで忘れられないのは、バンクーバーの動物園で体験した「キリンに腕ねぶられ事件」だ。

カナダのバンクーバーにある「Greater Vancouver Zoo」は、その園内に放し飼いにされている動物を柵越しに眺めることが出来る、ちょいと軽めの南紀白浜アドベンチャーワールド型の施設である。

Greater Vancouver Zoo 入り口
街の中心部からは結構遠いところにあるのでレンタカーがあると便利です


飼育員とともに園内でラクダの散歩も体験できます


サイもいる
全然動かなかったけど、きっと本物だろう
このコンクリートの柵の向こうは、もうサイのテリトリーなのだ


動物のいるフィールドは基本的に人の高さ以上の柵で仕切られているのだが、一部かさ上げしてテラスを設けてあり、そこから広い園内を見渡したり、近くに来たキリンに葉っぱをあげたりする事が出来るようになっている。

僕もそのテラスに上がって、遠くにいるキリンを眺めていた。

「相変わらずキリンはデカイな~」とか「あのキリンが近寄ってきたら、ちょっと怖いな~」とか考えていると、その遠くにいたキリンが僕の方へ向かってトコトコと歩きだした。

「おっ、こっちに来るんかな?」

と思ったと同時に、右腕に感じるなにやら変な気配。
見ると、もう一頭別のキリンが僕の腕を、その異常に長い舌ベロでねぶっていたのだ。


キリンの思い出 at バンクーバー動物園
ちなみにキリンの口の中は紫色でした


あのキリンのデカイ顔が自分のすぐ側にあった時の恐怖たるや!
おまけに腕はねぶりあげられて、ベットベトだし。

僕が茫然自失としていると、そのキリンは近くにいた葉っぱを持った女の子の方へ向き直り、その葉っぱをギギギギと引きちぎって食べだした。

「葉っぱを引きちぎって食べるという事は、このキリンはお客さんへの挨拶やおねだり、あるいはサービスのつもりで腕をねぶったんだろうか?」

そんな事を考えながら、腕のベトベトを頭のバンダナでぬぐって、テラスから退散したのでした。

キリンに腕をねぶられたい願望がある貴方。
行くならバンクーバー動物園ですよ!

オススメはしませんけどね。

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