2022年5月29日日曜日

21年前のホームページから4コマ漫画の再掲(7) 「新・箱根クロースアップ祭」

昔の4コマ漫画
(素材:いらすとや)


21年前のホームページに掲載していた4コマ漫画再掲載プロジェクト・その7。

「なにわのマジック・コンベンション」で準優勝を得た我々は、小野坂 東(おのさかあずま:通称トンさん)という日本マジック界の超大物に気に入られ、そのトンさんが主催する「新・箱根クロースアップ祭」という大会にゲストで呼んでもらった。

これはその時の「箱根湯本駅からどうやって目的地の南風荘へ行ったか」という話で、完全な実話です。

新幹線のひかりからこだまに乗り換え、箱根登山鉄道だったか小田急だったかに乗り継ぎ、どうにかこうにか箱根湯本駅までやってきた我々二人。
電車の乗り換えの面倒臭さでだいぶ疲れていたのだが、二人とも根がイラチなので、駅前でバスを30分も待ってられるけぇと、歩いて目的地のホテルへ行くことにした。

ヒオキさんは土地勘のある場所でも平気で迷う程の極度の方向音痴なので、こういう場合、地図を見て先導するのは僕の仕事となる。
実は僕は知らない土地でも「こっちが北!」と感覚で方角が判る「恐怖の方位磁針男」なのだ。

だから、道案内は俺に任せておけ!とそう言ったんですよ。

その結果、どこをどう間違えたのかは判らないが、徒歩20分の南風荘への道のりは、約一時間のハイキングとなってしまったのだ。


箱根湯本駅から南風荘までの道のり
迷いそうなポイントはないのだが……?


ともかく、やたらと急な坂を登り、細くひと気のない道を、重い荷物を担いでえっちらおっちらと進んで行ったのだ。

3コマ目に出てくるおじさんは民家風の八百屋さんで、この人に会うまでは誰とも出会わなかったという、軽い遭難状態であった。
そして、このおじさんのアドバイスが「この道を下っていけ」だったので、僕らは相当高いところまで必死で登っていたようです。

なんとか道を下って「本線」らしきところへ出た時に例の「30分後に発車のバス」に抜かれた。

このバスには僕ら以外の大阪からの参加者が乗っており、通り過ぎる時に「なんであの二人はあんなところを歩いてるんや?」と車内がざわついたそうだ。


南風荘
当時はあえてチェキで撮って、スキャニングして使うという
手間な事をしていた
(これは当時のHPで使っていた画像)


へとへとになって南風荘に着いたら、入り口で入場者の登録確認をしている女性スタッフに「到着が遅いので来られないのかと思いました。バスは乗らなかったのですか?」と訊かれてしまった。

「箱根は初めてなんで景色を見たかったのです」などとテキトーな嘘をついて、ようやく我々はチェックイン出来たのである。


チェックインした後、千社札シールを頂きました。
異常に物持ちが良いので、今もまだ持ってます。
(これは現在の写真)


欄外:
「箱根クロースアップ祭」へ行った話は昔のHPでも軽くしか触れていないので、ここで、この大会中にヒオキさんから聞いた面白い話をひとつ紹介したいと思う。

ホテルに到着したあと、その日の夜に我々はゲストとしてショーに出演する予定であった。夜のショータイムまではまだまだ時間があり、徒歩でホテルまで来たこともあって、ヒオキさんは大浴場へ行ってくると言い残して一人部屋を出ていった。

しばらくすると、足音だけでウッキウキなのが判るヒオキさんが帰ってきた。
どうやら風呂場である日本人の有名マジシャンに会ったそうで、その人が業界の噂で我々の存在を知ってたのが嬉しかったご様子。

「○○さんがな『今度、岡山で営業があるから一緒に行こうよ』って」
「へー」
「でも一応『今晩の僕らのショーを見てから決めて下さい』って言うといたんや」
「うん」
「ほんなら『そんなの関係ないよ!後で連絡先教えてよ!』って!」
「へー!」
「(風呂場へ)名刺持って行ってたらよかったわ~」

と大層な喜びようであった。

そして、その夜、我々はゲストとしてショーに出演。
僕もヒオキさんも自分の役割をきちんと果たし、ショーは成功裏に終わった。

ショーの心地良い疲れと共に、ヒオキさんはその日 二度目の大浴場へと向かった。
そこにはあの有名マジシャンも二度目の大浴場を堪能中だったそうだ。

その時の状況をヒオキさんは以下のように説明してくれた。

「(その有名マジシャンの方へ)ぱっと行ってやな、その人は俺の目の前におってやな、目も合った。合ったんやけど、どうも俺の事が見えてなかったわ」
「『あの~、どうでした?』って言おうとしたらスッとどっか行った」
「それ以来、どこで会っても全然話しかけてくれへんわ」

という訳で、その有名マジシャンは、どうも僕らのやったショーがまったくお気に召さなかったようでした。

僕らのやるマジックを気に入らない人がいるというのは、二人とも常に予測していた事なので、お互いこの事にショックはありませんでした。
ただ、このあまりにも極端な手の平の返しように、二人とも爆笑してしまったのでした。

箱根というと、僕はこの話をよく思い出します。

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