2021年1月24日日曜日

おろしや国無酔譚 ウラジオストク滞在記 (26)

おろしや国無酔譚 ウラジオストク滞在記もくじ

サハリンスカヤ電停から本当に目と鼻の先にある自動車博物館。
サハリンスカヤから坂を上がれば右手に見えるコンクリート打ちっぱなしの建物、それが自動車博物館。敷地にトラックが置いてあるのですぐ分かります。

ロシア語のみの表記なので一瞬自信は持てないが入り口はここである
敷地の庭にトラックが停めてあるのでそれを目印にしましょう


敷地に降りる階段の先に展示(?)されているBRDM-1
ただこの車両には説明がなにもない……
状態も酷いので展示してるのか放棄してるのか分からない


そして同じく野外展示の多目的トラックZiS-151
こちらはレストアされて塗装もキレイ
そして架装されているのはもちろん……


はい、出ました「スターリンのオルガン」こと「カチューシャ」
これは132mmのBM-13
こうやって見ると、本当に原始的な作りだな、これ

ちなみに上記の2台だけを見たいのであれば実は無料で見ることができる。
ここは近所の人が散歩がてらに子供を車に乗せて遊ばせたりしていて、なんとなく地域の生活道、遊具になってる感があった。一応、展示品なのに実におおらかだ(ええんかいな 笑)

博物館のドアをくぐると、オレンジ色の髪をした妙齢の女性がうきうきの笑顔で出迎えてくれた。どうもこの日の最初の客が我々だったようだ。
館内には特にチケット発券所のようなものはなく、この女性がカウンターで直接入館料を受け取って、さあどうぞどうぞと通してくれるシステムのようである。

自動車博物館の入館料は300ルーブルだったので、「じゃ、二人一緒に」と1,000ルーブル札を出すと、この女性の先ほどまでの笑顔は一天にわかに掻き曇り、お金を受け取るための手を引っ込め、我々をジッと見つめてくるのである。そして、我々二人も「またか」、「ああ、やっぱり」と思うのである。

ここで唐突だがウラジオストクの(ロシアの?)「お金支払い鉄の掟」を紹介したいと思う。

日本人の感覚だと100円の品物を買うのに1,000円札を出すのはごく普通の事であるが、ここウラジオストクでは、例え900ルーブルの支払いであっても1,000ルーブル札を出すことは非常に躊躇させられる。

どうも100ルーブル札が市中にあまり流通していないのか、商売をしている人は100ルーブル札でお釣りを払わないといけない事態をとにかく嫌がる。
1,000ルーブル札を出すと、割と明確に嫌な顔をして「他にないの?」と言ってくるし、店によってはしかめっ面をした上に手で「しっし」と追い払うような動作をしたり、肩をすくめて「お釣りが無いんだよね」のジェスチャーをしたりと、とにかく1,000ルーブル札での支払いは肩身が狭いのである。

なので円からルーブルに両替する場合は、1,000ルーブル以上の紙幣はすべて100ルーブル札以下にしてもらった方が賢明です。
日本の両替屋さんはこの辺の事情を知らないのか知ってて黙っているのか、高額紙幣から順番に両替していくので、両替する時は必ず「全部100ルーブル札以下で(にっこり)」と指定しましょう。

以上、「お金支払い鉄の掟」でした。

入場券
最初にもらった入場券を見てえらく喜んでいたら
「別バージョンもあげる」という感じで二枚目もくれた
しかも展示物を見てるところまで追いかけてきて渡してくれるというね
ロシアの人は本当に優しい人が多いな!

我々の考えとしては、自動車博物館はガイドブックにも載っている有名な観光名所だし、個人が営んでいるような小さな飲食店でもない、まかりなにりも「博物館」を名乗って立派な建物で営業している大きな組織である。だから「二人で1,000ルーブル作戦」が通用するだろうと思ったのだが、結果として「もっと小さいお金ないの?」攻撃で、僕と井上くんを交互に指差し確認までして攻めてくるのだ。
どれだけ1,000ルーブル札が使えないかがお分かり頂けたであろうか?

こうして、我々はなけなしの小額紙幣をかき集めて支払いを終え、財布のなかに留(とど)まり続ける1,000ルーブル札の重みをひしひしと感じながら展示会場へと歩を進めたのである。

(27) へつづく

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