Wikipedia にも載ってない幻の古役 (いらすとやさん、ありがとう) |
その「むかし」がどれぐらい前なのかと言うと、僕のおぼろげな記憶では、大阪にはまだ「ツモピンフ・クイタンなし」や「四人打ちの三人麻雀」の店が普通にたくさんあった頃、だったような、そんな気がします。多分。
誰も知らない古役の名前、それは「ヨロメキ」という。
この名前を聞いて「その役 知ってるよ」という人は何人かはいると思う。実はこの「ヨロメキ」は一度活字になって紹介されているのだ。
その活字媒体とはなんとこれ!
「井出洋介名人の実戦麻雀(1987年カプコン)」 まだ持ってるんかい!とか言わないように (パッケージはかさばるので捨てましたけど) |
ファミコンソフトの「井出洋介名人の実戦麻雀」の説明書に「ヨロメキ」というローカル役が載っている。
だから、このソフトを持っていた人は「ヨロメキ」という役名に聞き覚えがあるのだ。
取扱説明書表紙 ちなみにこの絵は「ストリートファイターII」等で有名な あきまんこと安田朗さんが描いてるのだそうな 意外ですね! |
翻数などは書いてないが、ここで説明されている「ヨロメキ」は、古くは「混一通」、いわゆる「三色一通」や「三色通貫」といわれる役と同じで、これはWikipediaの「麻雀のローカル役」の中でも説明されている。
でも、僕の知っている「ヨロメキ」はこれとは違う。
もっと「よろめいて」いる。
まさに「ヨロメキ」がぴったりな役名なのだ。
前出のおじさんの後見をしていると、おじさんが平和を和了り、ずいぶんご機嫌な声で点数申告をした後、僕の方をクルッと振り向いて、にこにこ顔で
「僕、これ知ってるか?『ヨロメキ』って言うんやで」
と言った。
正確な牌姿は忘れたが、要するにこんな形を「ヨロメキ」と言うのだそうな。
萬子、筒子、索子と別々の数牌で、順子が「一段ずつズレている」形、それが「ヨロメキ」なのである。
三色同順でもない、一気通貫でもない、確かに「よろめいた形」をしている。なので、教えてもらった時「『ヨロメキ』とは、なかなか言い得て妙やな」と思った。
ちなみに以下のような一盃口や一盃口崩れが入ったものは「『ヨロメキ』が連続していない」のでダメなのだそうだ。
萬子、筒子、索子の順番はどうでも良いが、格段が色違いで一段ずつズレるというのが「ヨロメキ」の役としての認定ポイントとなっているようだ。
ただ残念な事に、この「ヨロメキ」が実際のアガリ役として使われていたという形跡を、日本語の書籍やルール説明書等では一度も確認できていないでいる。
「ヨロメキ」という言葉自体も、上記の「井出洋介名人の実戦麻雀」の取説以外で見たことがない。
ただ、現代の中国標準ルールには「ヨロメキ」と全く同じ形をとる「三色三歩高」という役があるので、過去の日本でも同じ発想で同様の役があってもおかしくないような気はする。特にローカル役では。
そして、僕の推測では、実は「ヨロメキ」という言葉は、「実戦麻雀」で紹介されている方ではなく、元々はこの「三色三歩高形」の方を指していたのではないだろうかと、そう思うのです。「実戦麻雀」の方はどうしても「三色一通」の方が発想として素直だと思うので。
「ヨロメキ」という一般的に知られる役があったかどうかまでは判らないが、ごく一部ではローカル役として採用され、また「よろめいている形」ということで「ヨロメキ」と称される牌の配列はあったんだと思います。
ちなみに、この役を現代のリーチ麻雀に組み込むとしたら、三段階、つまり「三色三歩高」の形では出現頻度が高くなり過ぎると思うので、四段階にして二翻(喰い下がり一翻)ぐらいになるんじゃないかと、勝手に想像しています。
345-456-567-678の四段階の「ヨロメキ」を華麗に和了る私 これをアガった時に「ヨロメキ」の事を思い出したのだ |
その際の漢字の役名は、この「一段ずつズレる」様がコンピューターの「パイプライン処理」にとてもよく似ているので「四工程命令導管処理(Four Stages Instruction Pipelining)」として下さい。通称は「パイプライン」です。
採用してくれる方、お待ちしております!
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