2022年8月20日土曜日

飲み終わったら終わるラジオ(35) 「土地の名前」

 まずはこの7分程の動画を見てやって下さい。


今回も後輩芸人の福人(ふくんちゅ)君のYouTube番組にゲスト出演してました。

今回の一文字は「と」、そこから「土佐」を経て、廃藩置県や古い地名に関しての話でした。
(「続きを読む」以下、およそ2,100文字)


僕が日本の古い地名(旧国名)を知るきっかけになるのは、帝国海軍の艦名からでした。

当時は宇宙戦艦ヤマトも流行っていたので、その元ネタとして戦艦大和を知り、そこから戦闘艦のメカメカしい無骨な外観の虜になり、小学生の男の子にありがちな「学校の勉強以外の事には異常に優秀な記憶力」を発揮して、艦名とともに地名(旧国名)も憶えたのでした。


小学生の時に読んでいた戦艦関係の本で手元に現存するもの(1)
「ゼロ戦と戦艦大和」と「戦艦物語」


小学生の時に読んでいた戦艦関係の本で手元に現存するもの(2)
「決戦!日本連合艦隊」と「名艦!日本連合艦隊」


同級生にも同じような道を辿って戦(闘)艦好きになった者も多かったようです。

当時、人気が高かったのは、お決まりの大和・武蔵・長門の戦艦トップスリー(「陸奥」は漏れる事が多かった)と、空母では赤城がぶっちぎりで大人気でした。
僕も大和と赤城が大好きであったが、舷側にデカデカと、しかも右から左にカタカナで艦名を書いているのが面白くて、一部の駆逐艦も大好きでした。

また、小学生の頃は同好の士と、一緒にプラモデルのウォーターラインシリーズを買って組み立てたり、そこらに落ちていたジュースの空瓶(特に1リットルの大瓶)を川に浮かべ、それを戦艦に見立てて石を投げ、沈没させるという遊びをよくしていました。

でも、この時沈没させる船が自分のお気に入りの戦艦だったりするのが、いかにも小学生の発想なんですよね。

「やったー!加賀沈没ー!!」とかね。

いや、自分の好きな艦を沈めてどうするのよ。


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旧国名は、律令制で成立した「国」がそのまま地域名として残ったもので、60ほどの名称があるそうです。

厳密に「ここ!」と指をさすのは難しいけれど、「大体この辺?」で場所を認識できる上に、単に都道府県名を言うよりも「謎の大和魂パワー」が感じられて、僕は好きです(「出羽国」みたいに別の意味になって完全に風情をなくした名称もありますけども)。

それに対して「藩」は、約300程があったそうだ。
ただ、よく言うような「江戸時代の幕藩体制」という言葉とは裏腹に「藩」という用語は明治になってから「廃藩置県」を行う際に後付けで作られた言葉だそうで、江戸時代ではほとんど用いられなかったと言われている。

なので、我々が時代劇などでよく聞く「仙台藩で謀反の動きが!」や「紀州藩士の◯◯でござる」みたいなセリフは現代の創作で、実際は「藩」の部分が家名(大名名)だったようです。

藩名が実際にあったかどうかはともかくとして、昔の人の名前に対するイマジネーションの凄さというものは、本当に素晴らしいと思うんですよね。
町や市、土地としての名前、それらを含んだ地域としての名前、地方としての名前、もちろん旧国名も含めて、よくこれだけ土地々々に様々な名前を付けれたなと、本当に関心します。

廃藩置県でも、昔からある地域の名前を引き継がずに新規に名称を編み出したりしている所もある訳で、この土地の名称に対する飽くなき創造欲というのは、一体なんなんでしょうね?

まず、250年以上も続いた「江戸」を「東京」に改めるというのがかなり偉いと思います。
「これだけ続いてるし、みんな知ってるから『江戸』でええやん?」と流されなかったところが凄いです。「新政府としての存在感を示すため」としたって、結構むちゃくちゃですよ、これは。

そういった先人たちの土地の名前に対する豊かな創造性を目の当たりにした時、現状の日本で僕は非常に不満を感じる部分があるんです。

それは「新規開拓した新しい町(分譲地)の名前がダサい」とか、そういった事ではなく、漫画やゲーム、小説等の中で出てくる「日本」と「日本の土地名」の扱いが軽い、という事です。

特にゲームといわゆるライトノベルの「なろう系」は酷いです。
どちらも「ヨーロッパ風」の土地が舞台で、格好いい横文字風の名称は多数出てきますが、日本風の土地と言えば、ほぼ必ず「辺境の島国」という形でしか登場せず、地名に至ってはすでに知られた地名や名称をほとんどそのまま流用してるだけだったりします。

フィクションの世界なのに、日本風の物は「辺境の島国」という世界観に限定されているという謎の不自由さは一体なんなんでしょうか?

RPGや「なろう系」が中世ヨーロッパを彷彿とさせるような世界観で、見た事も聴いた事もないような広大な土地を冒険する話がある一方で、なぜ日本風の物は辺境の島国でありきたりの地名しか与えられないのか?
僕はこれが残念でならないのだ。

日本の戦国時代や江戸時代的な世界観で、超広大な土地を与え、その土地々々に自ら新しい地名を配置していくのも、フィクションの楽しみだと思います。

僕は日本風の「ロード・オブ・ザ・リング」や「ゲーム・オブ・スローンズ」みたいな作品があって欲しいのです。

しかし、なぜ時代を問わずヨーロッパ風のものはあれだけあるのに、日本風のものはほとんどないのでしょうか?

こういうのもある種の「島国根性」なのかも知れませんね。

あと、単純に漢字で地名を付けるのが面倒くさい、かですね。
カタカナって便利ですもんね。音だけで済みますから。


(※ 上記のような日本風の文化で広大な大陸を舞台にした先行作品がありましたらスミマセン。もっとたくさんあって欲しいという事です)

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