2022年6月4日土曜日

21年前のホームページから4コマ漫画の再掲(9) 「ラビットのように臆病なテツロー」

昔の4コマ漫画
(素材:いらすとや)


21年前のホームページに掲載していた4コマ漫画再掲載プロジェクト・その9(最終回)。

私(わたくし)テツローがいかに「ラビットのように臆病」かを描いた回ですが、これも概ね実話です。というか実話より何倍も穏やかに描いてあります。

今はまだマシになりましたが、当時は用心の上にも用心を重ね、一緒にいる人の気が休まらないような自衛手段を講じていました。

つまり、
待ち合わせ場所を指定されれば、予定時間の一時間前に到着し周辺状況を確認したり、
営業で控室に通されたら、すぐさま控室から出口までの動線を確認したり、
控室になにか「しかけ」がないか探ったり、
おやつやお弁当があればまず誰かが食べてからしか食べなかったり、
馴染みのないビル等ではなるべくエレベーターやエスカレーターを使わなかったり、
信号待ちの時は常に電柱の後ろに下がって車が飛び込んで来ることに対処したり、
駅のホームでは線路に押し出されないように柱を掴んでいたり、
電車には必ず5両目以降に乗ったり(*1)、
自分が手に取るモノは必ず自分で選ばせてもらったり(*2)、
目的地へは一度反対方向へ寄り道してから行ったり、
家まで車で送ってもらう時は、自分の家とは全然関係ないところでワザと降りたり、
おまけに相手の車が完全に見えなくなるまで降りた所から一歩も移動しなかったり、
ケータイを持ってなかったり、
連絡先にテキトーな文字列のフリーメールを指定したり、
そんな事をしてました。
(*1: 電車は脱線事故を起こすと、4両目辺りまでが脱線大破する可能性が高い)
(*2: 毒物の混入や爆発物等の可能性を考えて)

まあ、そのほとんどは単なる取り越し苦労なんですけどね。
でも、やってる本人は面白いので辞められないんですよ。こう、スパイ的ななにか、みたいな楽しさというか。
つまり「本気な訳ではないが、ふざけてる訳でもない」みたいな感じですね。

ともかくまあ、僕は用心深かったので他人との交渉事は必然的にヒオキさんに全ておまかせしていて、現場でも僕は常にヒオキさんの肩越しで他人と会話したりしてたんです。

喫茶店なんかの飲食店でも、まずヒオキさんに僕の注文を言って、ヒオキさんから店員に伝えてもらったりしてました。
その間僕は店内の様子を確認したり、店員がいきなりスペツナズナイフを出したりしないか、その一挙手一投足を注意深く見ていたのです。

だから、こうやって面白く漫画に描いてくれてはいますが、ヒオキさん的には「どーでもええやろ、そんなもん!」的な怒りや苛立ちを感じる場面はたくさんあったと思います。

とは言っても、喫茶店に行けば、入り口の見える壁際の席を毎回僕のために譲ってくれたりするんですよね。ヒオキさんはそういうところは優しくてエエ人なんですよ。

ちなみに、色々していた自衛策ですが、当時よく馬鹿にされたのは「ATMのレシートを持って帰る」と「暗証番号を打つ時は隠す」というやつです。当時、こういった事をしてる人は皆無だったので、かなり特異に映ったのでしょう。

今の人は信じられないでしょうけど、当時は銀行のATMで出る明細書をみんなそこらにポイポイ捨てて帰ってたんですよ。また、ATMに後ろを確認するような反射板(鏡)も付いてませんし、自分のすぐ真後ろに次の利用者が並んで待っていたりして、それが世の中の普通でした。

「レシートや暗証番号が誰かに渡ったとして、相手はどうやって金を引き出すねん?」と良く言われました。正直、僕も方法までは判らず「とりあえず」で自衛してた訳ですが、今の世の中を見るに結果的にこれは正解だった訳です。

この「正解」を先読みする能力が生死を分ける場合もあるのです。
なので、みなさんもうさぎのように臆病になって、日々新たな脅威に対応して下さい。

####

さて、この「21年前のホームページから4コマ漫画の再掲」は今回で最終回です。
当時の事を色々思い出せて、書いててとても楽しかったです。

僕自身がこのブログではマジシャンやマジック業界の事をあまり書かないと決めていたのだけれども、書いてみるとちょっと面白かったです。
業界とは10年以上疎遠にしてるのも、逆に良かったのかも知れません。

当時の事で書きたい事は他にもまだまだたくさんあるので、また個別に掘り下げて書く可能性はあります。
その時は活字に溺れるほど詳細に記述するので、是非また読んで下さい。

では!

0 件のコメント: