2021年3月31日水曜日

失われた緑一色




先日、上記の緑一色を和了ったのだが、諸般の事情でこの役満に関しては牌譜も動画も写真も残っていない。ここ10年ぐらいでは初めての出来事である。

前にある大会で四暗刻を和了ったら、その時だけ撮影していたカメラが止まっていたという事はあったが、その時は運営さんが写真を撮ってくれたので記録としては一応残っている。
それが今回は全くなにも残っていないのである。

実はこの緑一色は四人打ちでは初めて和了った緑一色だったのである。

そして、初めて緑一色を和了ったというのに、この「記録がない」という事実が、なにか妙な喪失感を生んでいて、ちょっと不思議な気分なのだ。
単に喜べばいいだけなのに、なにか喜び辛いという変な感情がある。

昔は、「前に九蓮宝燈を和了った」、「こないだダブル役満を和了った」なんていうのは、基本的に本人の自己申告だけでOKで、周りも本人もそれで満足し納得していた訳だが(周りの人は眉唾だったと思うけど)、今のように「記録」が残る世の中だと、なにか目に見えるモノがないと、なんだか本人の「言ってるだけ感」だけが強く残ってしまうような、そんな感じがする。

麻雀は将棋のように一局(半荘)まるごと順番に記憶するというのが非常に困難なゲームで、正直、今まで山ほど麻雀を打ってきたが、場況含めて完全に覚えている局など一局もない。多分、ほとんどの人がそうだと思う。

結果、覚えているのは最終形だけになり、それも役名だけになって細かい牌姿は「こんな感じ」ぐらいで忘れ去られていくのだ。悲しいかな。

個人的には、せっかく和了った緑一色を完全に忘れてしまうのは惜しいので、断片的に覚えている部分だけでも残しておこうと思う。

以下の手順の断片には僕が個人的に「到達不能手順」と呼んでいる、僕以外の誰もやらないであろう「狙いが遠くても配牌から決め打つ」をやっているので、その辺を見てもらえれば嬉しいです。
見た人になんの得もないですけどね。

では、以下憶えている事など。


配牌にこの9牌があったのは覚えている。
僕は東場の親で、ドラは索子でも字牌でもない何かだった。

配牌の上記の部分を見た瞬間、この形に八索や發が来たら面白いので、初めから緑一色を目指して打とうと僕は決断した。これが「到達不能手順」の始まりである。
「到達不能手順」が始まった場合、「和了りたい手を和了る」以外に目的がなくなるので、場況は自動的に無視されることになる。
わずかに欲しい牌の残り枚数ぐらいはチェックするが、基本的には相手のリーチもドラもなにも気にしないで打つ(だからドラは憶えていないのである)。

そんな訳で第一打は確か萬子の真ん中ら辺の牌だったと思う。
これは狙いが失敗だったとしても「引き返せないよう」にするためにわざとそうするのである。
もちろんこの時点で、北は出ても鳴かないと決めていた。
本命の狙い以外は受け入れを極端に狭くするのが「到達不能手順」の基本姿勢である。

河の一段目が終わる前にカン三索をチー。
二段目の間に赤五索と七索が来たが、ノータイムでツモ切った。緑一色に必要ないからである。


二段目の終わり辺りに六索ツモ。白を切ればテンパイだけど、ここから粛々と北の対子落とし。日和って「バカホン」で和了らないように、わざとテンパイにとらないのである。

このあと白をもう一枚ツモって以下のテンパ……、いや緑一色のための仮テンになる。


この形で六索が出ればポンして打白、發か八索をツモるのを待つ計画。
白は出ても当然スルーである。
2,3,4索が出た時はどうしようと思ってるところへ四索ツモ。打白として、数巡後に待望のツモ發。


これで打白として、やっと緑一色だけの牌になった。
そして、とうとう六索ツモで以下の形となる。


ここで、四索を切るか、發を切るかでしばし悩む。

發は場に2枚切れ。
ツモはあと一回ぐらい。
親なので一索というまぎれはあっても多門張にして、「最悪」のケースとして連荘をするという手もあるのではないかと思ったが(「最悪」の考え方が独特です)、よく考えたら五索がフリテンなので二索や三索が出ても、どっちにしても出和了れないと、この段階でやっと気が付く(遅っ!)。

しかし、これで気が楽になり、確定形の打四索、發単騎にとる。
直後に下家が三索を切り「ほら、これ打發やったら地団駄踏んでるとこやで」と思っているところでツモ番となり、テンパイ即ツモの緑一色和了となったのである。

赤五索をツモ切っておいて本当によかった!
「到達不能手順=引き返さない決めうち打法」はこういう時、本当に気持ちが良い!
まあ、ほとんどの場合は「単なる到達不能 = 惨敗手順」になるんですけどね……。

とりあえず、これで一応、緑一色は和了れたんだけど、もう一度、次は記録として残るような形で和了って、「緑一色和了ったでー!」と正々堂々自慢したいもんだ。




謝辞:
本文中の牌姿は「雀のお宿」というサイトの「牌姿URL」という機能を使わせてもらいました。
ともすれば、タグやCSSも手打ちでガリガリ書いていく僕のような人間には、今までで一番使いやすい牌姿ツールでした。
ただ一点、「發」を現すトークンがなぜ「dg」ではなく「db」なのか、それだけは解せませんでしたが……。
でも良いツールです。作者様、ありがとうございました。

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