2024年6月20日木曜日

Mリーグの次は?麻雀よもやま話(3)「麻雀の配信で」

Mリーグ景気に湧く麻雀業界の次はどうなるのか?

ネガティブとまでは言わないがポジティブとも言えないそんな感じの話を書く集中連載、第三回。

今回のテーマは、麻雀の配信にまつわる話です。



11PMで麻雀が大流行した時代だとテレビ(地上波)で麻雀が観れたかも知れませんが、現在はほぼ見れない状況になっています。しかし、逆に配信という新たな手段で山ほどプロの麻雀をリアルタイムで観れるようになりました。

ただまあ、この配信にもあまり良くない点があります。

ひとつ決定的に「これは絶対にダメ」と思うのは、リーチの際に画面にバーンと出る「REACH」の文字。

配信でこの「リーチ演出」をやってる団体さんもありますが、これは正直、絶対にダメだと思います。大変失礼な物言いですけど。

リーチの際に画面にでる「REACH」の文字
(最高位戦のYouTUBE配信より)


麻雀プロ団体LIVEチャンネルさんはリーチ演出がないようです
個人的には一番好きな画面レイアウト
「親」と左上の捨牌表示が最高!
(麻将連合 第22回μ-M1カップ 優勝者決定戦より)


同じ麻将連合でも、雀サクッさんが配信すると
「REACH」の文字が出る
(無双-MUSOU-μプロアマ混合戦 YouTUBE配信より)


日本プロ麻雀協会さんも「REACH」
雀サクッさんと同じ演出だけど、これは協会さんのYouTUBEチャンネル
雀サクッさんが配信協力なのかな?
(第5回fuzzカップ関西予選のYouTUBE配信より)


RMUさんも「REACH」のリーチ演出
(第16期令昭位戦A1リーグのYouTUBE配信より)


なぜダメかと言うと、「リーチ」を「REACH」と書くのは単純に間違いだからです。「リーチ」の英語表記はたとえ格好悪いと思っても「Riichi」が正しい、というかその表記しかないはずです。

Mリーグのようにエンタメに大きく振った配信なら百歩譲ってまだ理解出来ますが、他のプロ団体が自団体のリーグ戦配信などでこういった「間違った用語」を当たり前のように表示するのは、相当マズイと思います。

外部のデザイナーさんが「REACH」表記でデザイン案を上げてきたら、団体内部の人間が「リーチはカタカナか漢字、どうしてもローマ字でデザインしたいなら『Riichi(Rii-chi)』と書いて下さい!」とキツ目に注意しないといけないところです。

各プロ認定団体は、麻雀というゲームが素晴らしいと思っていて、それを世に正しく伝えたいと思ってるはずです。だから、こういうところで「正しくない用語」を使ってはならないと思います。

「リーチ」を「REACH」と書いてそれでヨシとするのは、英語表記が格好良いと思っている内なる「英語コンプレックス」を披露しているだけです。

プロ認定団体なら正しい用語を正しく使うべきで、格好良いからで流されるべきではないでしょう。


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今の麻雀配信で「もったいない」と思うのは、配信チャネルの少なさです。

超貴重なチャンネル数を争う地上波やBSと違って、現在のインターネット配信であれば事実上チャネル数は無限にあるのに、各団体の配信は1チャネルでしか配信がありません。

あのお金のかかってるMリーグでも配信チャネルは1チャネルだけです。配信用のカメラをおそらく20台ほど使ってると思いますが、映像は結局、スイッチャーで細々とカメラを切り替えて1チャネルで配信しています。

他の団体もカメラの数こそ違え、やってる事はほとんど同じです。

しかし、これはチャンネルが貴重だったテレビの方法論です。

今やチャネルは無数に取れるのだから、四人を切り替えながら配信する今のチャネル以外に、各選手用の固定チャネルを4つ用意した方が良いと思います。

こうすれば、ファンは選手目線でゲームを見ることが出来るし、運営はその選手にどれぐらいの数のファンが付いているのかを把握することが出来ます。

また各選手ごとに解説者をつければ、団体内での解説スキルも向上するし、解説代として選手に寸志を渡すことも出来る。これはほとんどの選手にとってありがたい話でしょう。

配信用カメラの配線はちょっとややこしくなるけれども、今の機材にほんのちょっと追加するだけですぐに対応出来るはずです。

自前の配信スタジオを持っている最高位戦さんとか、やってみたら良いと思います。早ければ思い立った次の日からでも出来ますよ。


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選手同士が点棒のやりとりをしているのはあまり格好の良いものではないな、というのを特にMリーグを見てると思います。

あれだけ華やかに演出しているのに、点棒(点数)のやり取りは選手たちで自主的にするってのは、なんか変です。他のスポーツでは、得点表示は自動的に審判や記録員がやってくれます。そして、その方が「プロっぽい」です。

選手がお釣りを渡したり、両替してたりってのは、なにか所帯じみていて、華やかな世界には似合わないです。

すでに配信用の画面には、和了に応じて各選手の点数移動が表示されているんだから、それに点差表示を付け加えて選手側に共有すればそれで済みます。

「配信用の点数表示、実はあれ手入力なんです……」という場合でも、麻雀の点数移動程度であれば、普通に経験のある開発者なら2日もあればそこそこ出来の良いアプリを作ってくれます。難しい話ではないです。

リーチはリーチ用に千点棒を各自一本だけ持っておくか、卓に「リーチ宣言ボタン」でも付けたら良いんです。

「点数移動を審判により自動化にする」は、ぜひやるべきです。

他のプロ認定団体さんも、ぜひプロの対局から点棒を無くしましょう!

トッププロは点棒を使わない。今後はこれが格好良い!


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配信についてもう一つこれをやっておいた方が良いというのがあります。

現状、手牌を選手の斜め後ろから撮っていますが、そのせいで手牌はテーパー状に歪んでいます。その歪みをなくして真正面から撮ってる様に見せる、そんな技術を開発しておくと良いと思います。

このように「テーパーのかかった」画像から
(最高位戦のYouTUBE配信より)


こんな感じにして表示出来た方が美しいと思います
これはPhotoshopでテキトーに作ったので荒いですが……


リアルタイムの画像変換でも良いし、牌の模様を読み取ってその牌画で置き換えてもいいでしょうし。あるいは小型カメラを使って手牌を真正面から撮れるようにする、でも良いでしょう(選手には不評でしょうが)。

今は右利きと左利きで撮影するポジションが逆ですが、この技術があれば撮影ポジションに依らず同じ絵面で配信出来るようになります。その方が、見ている側にストレスがないです。

だから、これも絶対開発した方が良いです。


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あと、解説や実況が「に・さ・し」とか「さ・し・ご」、「飛んでる」、「曲げる」みたいな、中途半端な用語を使うのもなるべく避けた方が良いでしょうね。

「にー、さん、しー」、「さん、しー、ご」、「捨てられている」、「リーチ」と言ったとしても、別に長ったらしい訳じゃないですし。

世の中に完全に浸透するまでは、こういった中途半端な用語を大っぴらに使うのは、「寒い内輪ノリ」にしか見えないので、世間的にマイナーな(競技)団体ほど辞めた方が良いのです。

テレビに出てる人が一般的にあまり知られていない芸人用語や業界用語を使うのとは意味が違うのです。


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他にもまだ細々したことで言いたい事は色々あるんですけども、最後にひとつだけ。

Mリーグ以外にも色々配信を見た結果、配信に「向いている人・向いてない人」が居るのが分かりました。

「向いている人」というのはなにも、ド派手な手を和了るとか、超美しい手順を魅せるとか、そんなのではないです。単純に摸打に淀みないという事です。

逆に「向いてない人」というのは、盲牌がいちいち長い人とか、カメラの前に肩を出して何度も手牌を見れなくする人とか、長考が死ぬほど長い人とか、袖が汚い人とか、そんな人です。

カメラで撮られているんだから、「ファンが見ている」というのは最低限意識しないとダメだと、そういう事です。

少なくともカメラがどこにあって、どう撮ってるかは把握しておかないとダメでしょう。どんなスポーツでも広めるためには「見栄え」が大事なんです。

「プロなんだから見栄えより『勝ち』が大事だろ!」という勝利至上主義は、特に麻雀に相性の良くない概念だと思います。覚えたてのシロートにも負けるゲーム性なので。

大きなお世話かも知れませんが麻雀プロの方々は、プロレスラーや芸人の所作や方法論を見た方が良いと思います。

以上様々、老婆心ながら。


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