2022年2月19日土曜日

飲み終わったら終わるラジオ(16) 「昭和の礼讃」

まずはこの12分程の動画を見てやって下さい。


今回も後輩芸人の福人(ふくんちゅ)君のYouTube番組にゲスト出演してました。

今回の一文字は「け」、そこから「けだるい」になり昭和昔話のあれこれを。


今回の動画のなかで僕がさかんに叫んでいる「昭和を美化するな」というのは、結構大事な話のような気がしますね。

昭和という元号が示す年月は非常に長いのだが、一般的に「しょーわ」と言うと、大体が戦後以降、特に最後の20年程度を指している場合が多い。
その最後の20年は、昭和にとっては、最高の技術、最高の環境、最高の衛生観念、最高の人権意識があったはずである。が、平成・令和の世から見れば、そんなものは児戯に等しい。

とにかく、街は今より圧倒的に汚い。
まず、そこら中にタバコやタバコの箱が落ちている。なぜかというと、周りの人間のほとんどがタバコを吸っているからである。吸っていない方が少数派なぐらいだ。
当然駅のホームでも吸っているし、それは朝の通勤ラッシュのホームでも変わらない。オフィスなんかも煙まみれだったし、なんなら飛行機の中でも吸えた。
とにかく「禁煙」の場所がほとんどなかったのだ。

そして、公園なんかでは犬猫の糞尿がたくさんある。
ペットとして犬を飼ってる人も、その犬が町中や公園で糞尿をしても「させっぱなし」が普通だったのだ。「うんこ袋」とスコップなんて、ほとんど誰も持っていない。
また、その地域の犬とでも言うべき野良犬が、普通に街を闊歩していた。
当然そんな犬は、狂犬病その他の予防接種をしているかどうかも不明である。

工場や車の排水・排気ガスは規制がゆるゆるだったので、スモッグが酷く、川は汚かった。
大気は汚染され、妙な刺激臭を放ち、目は痛くなり、光化学スモッグに関する注意は一年中発令されていた。
「ドラえもん」などに代表される藤子・F・不二雄先生の過去の作品では、「家族で車に乗って都市部へ行くストーリー」だと必ずといっていいほど「光化学スモッグによる大気汚染が酷い」という描写がでてくる。
そして、呼吸器疾患に代表される重大な「地域の病」をいくつも生み出したのである。

学校や社会の人間関係も今より共同体意識がキツイし、「普通」が出来ない人間は徹底的に矯正される。「普通」でなければそれは「落伍者」であり、「失敗作」であり、「社会不適合者」なのだ。

商品・製品についてはサポートなど全く期待出来ないし、そもそも商品自体がポンコツな場合でも明確な改修処置などで救済はしてくれない。また、故障した場合でも製品の修理用部品を8年も企業側で保管してくれたりはしない。

詐欺や押し売りも多く、クーリングオフ制度などない。
借金をする時、保証人になる時はある意味命がけだし、「サラ金」の追い込みは時間や場所を問わず、その過酷さから自殺する人が続出した。

まともな冷暖房器具や家風呂もなく、夏は暑く、冬は寒いまま過ごさなければならない。
そして、働きだしたら週休は一日しかない。

初めて新幹線に乗るという事でウキウキだったのに、改札でうっかり乗車券と特急券を一緒に出さなかったばっかりに、サービスの「サ」の字も知らない国鉄職員に「はぁぁぁあ!」というクソバカでかいため息をつかれて、それまでの上機嫌が台無しになったりもする。

それが「昭和」なのだ。
だから、表面的な「昭和レトロ」だけを見て昭和を美化してはいけないのだ。

今の日本はずっと強い閉塞感に包まれているから、景気の良かった頃の昭和を羨む気持ちがあるのは解るが、例え今が長い長い不景気の最中であったとしても、それでも世の中の全体的なサービスは絶対に今の方が良いのだ。

昭和の頃に今の新型コロナの厄災が起こっていたら、どんなに悲惨だっただろうかと、僕は良く思います。

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ただまあ、エンターテイメントに関しては昭和は良いなと思うことも多いですけど。

それは使える言葉や表現が多い、という表層的な事ではなくて、全く新しい形のコンテンツが次々と生まれていったというところ。

今のコンテンツは、昭和の焼き直しが多いので、それはちょっと残念なのだ。


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