2021年9月2日木曜日

さようなら「イズミヤ上新庄店」

 

イズミヤ公式Webより

イズミヤ上新庄店が2021年8月29日をもって完全閉店となった。

イズミヤ上新庄店は、あの辺りでは単なる「近所のスーパー」にとどまらず、ある種のランドマーク的な存在だったので、それが今後、(おそらく)跡形もなく消え去ってしまうのだと思うと、なにか知人の死にも似た複雑な悲しさがある。

年々寂しくなっていく店内を見ては、いつか閉店する時が来るだろうというのを確信しながらも、この年初に「今年中に閉めるらしい」と聞くまでは、本当にあの上新庄店が無くなる事があるんだろうかと、どこか「未来永劫続く上新庄店」を想像していた感がある。

少なくとも自分が死ぬまでは存続し続けるんじゃないかと、そう思っていた。

当初、「今年中の閉店」と漠然としていた噂は、「梅雨明けか8月ぐらいまで」と具体的になり、そして「8月29日」と確定し、そしてその予定通りの閉店となった。

閉店までのあいだ、何度か上新庄店へ行く機会はあったのだが、残念ながら最終日は行くことが出来ず、閉店のその瞬間は見ることも見送ることも出来なかった。

そこで、当ブログでは上新庄店閉店へのはなむけとして、個人的な上新庄店での思い出を残しておこうと思う。

ただ、なにぶん古い古い「昭和の話」ばかりなので、内容の正確さは一切保証出来ません。そのつもりで読んでください。

大店法時代を偲ばせる表示版
(上新庄店自体のオープンは昭和49年5月31日[金])


1. すべり台

まず、イズミヤ上新庄店といえば、真っ先に思い出すのが「すべり台」である。
もう撤去されてから20年以上経つと思うが、いまだに上新庄店と言えば「すべり台」のイメージなのである。

開店当初の上新庄店には、2階の駐車場側入り口から入ったところに「子供の遊び場」があり、絨毯(マット)敷きのその「遊び場」の一番奥には、高さ1mほどの木製のすべり台が設置してあった。

(実物の傾斜面はまっすぐで、こんなに反っていません)

このすべり台は、台の下の空間を活かして小さな迷路が仕込まれており、買い物について来たお子様達は、親が買い物を終えるまでの間、ひたすらここで滑り、走り、迷い、頭を打ち、キャッキャとはしゃぎ回っていたのである。

ちなみに「小さな迷路」は子供でも屈まないと入れないぐらいの低いトンネルで、基本的にはどのルートを選んでも(というほどのルート選択はないが)反対側へ出られるようになっているのだが、一か所だけ「行き止まり」のところがあり、僕はその行き止まりに潜んで、知らずにやってくる子供を「ワッ!」といって驚かせるという、地味で暗い遊びをよくやっていた。


2. ヤマト上映会

上新庄店では夏休みに様々な催し物があったが、そのなかで特に憶えているのが「宇宙戦艦ヤマトの上映会」である。

ある日届いたイズミヤのチラシに「宇宙戦艦ヤマトの上映」と書いてあるのだ。ヤマトの絵も載っていて、間違いなくあの「ヤマト」である。
当時の「ヤマト」といえば、男の子の大人気アニメである。

「映画館ちゃうのに、どうやってイズミヤで『ヤマト』を上映すんねやろ?」という疑問は一瞬も浮かばず、どうしても映画の「ヤマト」が観たかった僕はさっそく自転車を飛ばして上新庄店へ向かったのである。

場所は確か2階だったと思うが、バックヤードや会議室を利用して暗室を作る、とかではなく、テナントのない部分、言わば通路にあたるところを紅白の幕で囲い、天井の蛍光灯を抜いて薄暗くし、そこで上映会をやるという算段であった。

店員さんが青い法被と鉢巻をしていた

紅白の幕の中をチラッと覗くと、パイプ椅子が5列ぐらい並んでいて、そこに小さな子供たちが座って前のスクリーンを観ていた。
8mmなのか16mmなのかは判らなかったが、ちゃんと映写機もあり、きちんとスクリーンに投影しているのである。立派に「上映」である。

ただ、周りが明るい。
スクリーンにはギリギリ解るぐらいの色合いで森雪と古代進が映っていた。
そして、音声がよく聴こえないのである。
店内放送がそのままガンガンに流れているからである。

それでも子供たちはスクリーンを見つめ、楽しんでいるようであった。

しかし僕は「映画館みたいなところで『ヤマト』が観れるんや!」と勝手に思っていたため、あまりのギャップに愕然として、フラフラとそこから立ち去り、おもちゃ屋で買いもしないプラモデルを舐めるように眺めてから帰ったのであった。

ただ、この上映会自体は好評だったのか、それから数回続いたようである(「ウルトラマン」や女の子向けの上映会もあったようだ)。


3. エアー・トランポリン

この話自体はとても短い。
要するに「エアー・トランポリン」が上新庄店にやってきたことがあった、というだけの話だ。

今ではちょっと信じがたいが、新幹線側の入り口横、証明写真機の前の自転車置き場に「エアー・トランポリン」を設置して、無料で子供たちに提供していたのである。


エアー・トランポリンは何回か設置されたと思うが、僕が見たのはこの赤っぽい怪獣のもの。

デザインはこの絵と全然違うと思うが、腕と頭があったのは憶えている。
なぜ憶えているのかと言うと、飛び跳ねて腕の中に入ろうとして失敗した経験があるからだ。


4. ヨーヨー・チャンピオン

あの有名な「コカ・コーラのヨーヨー・チャンピオン」も上新庄店に来ている。

ただ、これは例の世に知られている「ヨーヨー・チャンピオン」とはどうも趣が違う。
もしかしたら、僕の記憶違いかもしれない。なにか別の事象とごっちゃになっている可能性がある。それぐらい世の人々との記憶と違うのだ。

僕は「ちびまる子ちゃん」の5巻(その29. 「まるちゃんカゼをひく」の巻)を読んだ時、自分の記憶とまるで違うヨーヨー・チャンピオンの姿に「あれ?オレの知ってるのと全然違うやん」と結構ビックリした憶えがある。

だから、誰かこの時の写真を持ってる人がいたら、ぜひ僕にもそれを見せて欲しいのです。
実はそのためにこの話題を書いた、と言っても過言ではありません。
どうかよろしくお願いします。

では、「ヨーヨー・チャンピオン」の話です。

一般的に言われるところの「ヨーヨー・チャンピオン」は。赤いジャケットを着ている、というのが定説であるが、僕の見たヨーヨー・チャンピオンは。白っぽい服を着ていたような気がする。

彼は透明な多数のポケットが付いているタスキをかけていて、そのポケットには抽選で当てるしかない「レアな」ヨーヨーが収納されていた(チャンピオン・ヨーヨーとか言ってたような)。

絵が白っぽいのは服装の色をまるで憶えてないから。
タスキの中の珍しいヨーヨーばかり見ていた。

彼は出てくるとまず片言の日本語で挨拶をし、ぶるんぶるんと前方にヨーヨー投げて振り回す技を数回すると「犬の散歩」、「犬に噛まれた」、「ブランコ」を順に見せ、子供たちの大喝采を浴びた。

その後は、取り囲んでいる子供たちを一人ずつ前に連れ出し、なにか技をやらせて上手くできたら「スゴイ」、「ウマイ」と褒め、失敗すると「アリガト、サヨナラ、バイバイ」といって子供たちの中に押し戻す、というのを繰り返した。

今思うと大したことは全然していないのだが、当時初めて「犬に噛まれた」を生で見た僕は、ズボンの裾にヨーヨーが一発でギュッと「噛みつく」見事さに圧倒されて、「やっぱり、ヨーヨーのチャンピオンはスゴイな!」とかなり納得して家に帰ったのを憶えている。

でもまあ、この人が本当にこんな人だったのか、もはや全然自信はないんですけどね。
ですから、誰か写真を持ってる方、ぜひ見せてください。本当に!

新幹線側入り口のこの部分で様々なイベントが行われた。
エアー・トランポリンもヨーヨー・チャンピオンもここでの話。
後ろの青い壁と赤い屋根はオープン当初は白だった。


という、僕の個人的な上新庄店の思い出でした。
他にもまだまだ思い出はあるけれど、とりあえずはこんなところで。

イズミヤ上新庄店さま、47年間お疲れさまでした!



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