2015年6月14日日曜日

それはまるで海に突き出さんとするドラゴンのヒゲ。世界点線紀行 ー スロベニア・クロアチア

Google Maps にある国境が点線の地域を紹介する「世界点線紀行」
第三回は「スロベニア・クロアチア」

スロベニアとクロアチアはここ。

ヨーロッパでのスロベニアとクロアチアの位置関係


オーストリアの南側。ハンガリーの西側。旧で言えばユーゴスラビア社会主義連邦共和国の北側担当(?)。もっと旧で言えば、オーストリア=ハンガリー二重帝国のオーストリア領キュステンラント。激動のヨーロッパの中でも国境の移り変わりが非常に激しい部分のひとつだと思う。

もうちょっと近寄って見てみる。

スロベニアとクロアチアの位置関係


しかし、この縮尺のGoogle Mapsを見ると、なんだかスロベニアが寂しいな。
名前の通ってるザグレブはクロアチア、トリエステはイタリアの都市だし、唯一載っているマリボルは日本人にはまず間違いなく馴染みが無い上に首都ではない。「スロベニア」のフォントサイズも小さいし。もうちょっとなんとかなりませんか?Googleさん。

ま、それはさておいて。

こうやって見ても、スロベニア・クロアチア国境線上に点線はないように見える。
じゃあ、どこら辺に点線があるのかと言うと、ここら辺にある。

大まかな点線の位置


拡大するとこう。

ほらあった!


ただ、なにか見た目がちょっと変だ。
なにが変なのか?
それは、もっと拡大すると理由が判る。

さらに拡大、どん!

点線が二本ある!


そう。点線が同一か所に二本あるのだ。

この二本の点線のうち、南側がスロベニアの主張する国境線で、北側がクロアチアの主張する国境線となる。現在のGoogle Mapsではクロアチア側の国境線を ”より有効(事実上の国境)” として国土を分けているようだ。

点線部分の長さは7kmほどあるが、最も狭い部分は20m程しか離れてない


もともと歴史的に国境線の激しくややこしい地域である上、国境としてたドラゴニャ川の流れも変わったり、旧ユーゴスラビア連邦時代は同じ連邦国家同士なんだから多少の国境は「まあいいやん?」で済ませていたりと、さまざまな要因が重なって現在でもこんな感じになってるようだ。


青が元々のドラゴニャ川の流れ
水色がクロアチア、黄色がスロベニアの主張する国境線
(Wikipediaより)


この国境線の延長で、スロベニアとクロアチアは海上の境界線でも意見が衝突しており、この陸上7Kmから始まる境界線論争は当分収まりそうにない。

ちなみに、この二本の点線に囲まれた範囲には、いくつか集落も点在している。

農業を営んでいるようだ


こっちはもう街だ。ATMだってあるぜい!


ここら辺に住んでる人達は、どんな思いで日々を過ごしているんだろうか?
なにより、住民税とかどうなってるんだろうか?
あと、ATMはどこ銀行の何支店扱いになるのか?

なにかそんな事が気になる「ドラゴンのヒゲ」とも言える二本の点線でした。

この点線が今後どうなるのか、みんなで見守っていきましょう。


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