2013年8月22日木曜日

mini (tiny) XLR to XLR ケーブルのピンアサインについて(望郷篇)

ほとんどの人には全く意味の判らない記事です。
miniXLR to XLRケーブルを自作する事がある人だけ読んで下さい。
(むちゃくちゃ長いです)




故あって、海外メーカー製のマイクで出力端子がmini XLRのモノを買ってしまったのであるが、世の中には何故かmini XLR to XLR の変換コネクタやケーブルが存在しない。ケーブルはあったとしても、専用ケーブルばかりで ”他のマイクへの適用はご遠慮願います感” がありありと商品説明に表出している。
僕は「素」のマイクだけを買ったので、その「専用ケーブル」が無い。変換コネクタが簡単に手に入ると思っていたからこれには困った。

あの有名な Switchcraft や Neutrik も、コネクタは造っていても、変換コネクタまではつくっていない。これは一体何故なのか?

まあ、何故なのかと言えば多分「売れない」からだろうけど、他の変換コネクタはどんなマイナーなパターンでもあるのに、mini XLR だけは一切ラインナップになかったりして、この頑なな存在拒否は一体何なのかと考えさせられる(この理由は、後に判明する)。

ともかく無いなら自作するしかない。まあ、XLRなんて品質さえ考えなければ、ピンの番号を合わせてストレートで結線するだけなんだから、簡単簡単、超簡単。

で、mini XLR コネクタ(メス)、XLRコネクタ(オス)、2芯ケーブルを買ってきて、さて作りましょうとなった段階でドエライ事が判明する。

「あれ?ピンアサインがXLRと違う…?」

本体に打ってある刻印がものすごく小さいので始めは見間違えかと思ったが、拡大鏡で見てみても、スペックシートを読んでもそうだった。XLRと比べると2番ピンと3番ピンが入れ替わっている…。
なんでなの?
XLRとmini XLRのピンアサインの違い
(テツロー作画)

そして、これはヤバイ。
迂闊にケーブルを作れない。HOTピン(2番)が間違っていたら、最悪マイクを壊してしまう。

調べまわったところ、mini XLRについてはXLRの様に「2番をHOTにすること」という規格はないようだ。つまりアウトプットに関しては、アセンブルメーカーが「打刻通り2番をHOTにする」事もOKだし、「見た目をXLRと同じにするため2番と3番を入れ替えて結線する」のも当然OKなのだ。

そうか、だから変換コネクタも無いし、ケーブルも専用ケーブルしかないのだ…。
仕様の違うマイクにコネクタやケーブルを使いまわされたら困るから…。
ここへ来てようやく判明する謎の答え。

しかし、こんな謎が解明出来ても仕方がない。
本命の謎、「どれが2番ピンなのか?」を探らなければならない。

海外のオーディオ・フォーラムでも、この「mini XLRのHOT問題」はさんざん持ち上がっていて、メーカー側もマニュアルやスペックシートにどれが2番ピンかは載せていないようだった。そして海外メーカーだけではなく、日本のメーカーもmini XLRの場合は出力端子の詳細スペックは公開していなかった(専用ケーブルをスルーした後のスペックは公開されている、というかそれは単なるXLRだ)。
サプライで販売している専用ケーブルの売り上げを考えても、そこまで内部資料を公開する必要も義務もメーカー側にはないのだ。

そりゃそうだ。
でも、弱ったね。

端子をルーペで詳細に眺めたところ、グラウンドは打刻通り1番ピンで良さそうだった(端子が微妙に長い)。
ただもう、2番と3番は勘しかない。
勘でマイクを壊したくない。高いし。

さんざん悩んだ挙句、僕のとった行動はとてもシンプル。
「ダメ元でメーカーにメールで問い合わせしてみる」

”おたくのところの◯◯ってマイクだけど、あれの出力端子はどれがHOTでどれがCOLDなの?いや、専用ケーブルがあるのは知ってるよ。単なる興味本位なんだわ”(英語意訳)

こんな感じでメールを送ると、ほんの数時間で返事が来た。

返事は ”これを見てちょ”(英語意訳)と、内部資料の組立図(PDF)をそのまま送ってきた。
おい!大らかやな!
組立図
(一応モザイクかけてます。エロくはないです)
そんな訳で、僕の買ったマイクに関しては、mini XLRの出力はXLRと番号互換にしてある事が判った。つまり、
1番 … グラウンド
2番 … HOT
3番 … COLD
なのだ。

もう、ここまで判れば後は半田ゴテを握りしめて結線するだけである。

ケーブルは小一時間で出来上がり。
ただし、まだ実戦テストをしてないので、本当に機能するのかどうかは判らない。

きちんと動作確認がとれたらまた報告します。

(以下、帰郷編へ続く)


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21 件のコメント:

えりりょん さんのコメント...

なるほど!だから変換ケーブルが存在しないのですね!
やっと(謎)が解けました。
ありがとうございました。

向町テツロー さんのコメント...

「こんな記事、一体誰が読むんだろうか?」と思って書いたけど、参考にしてくれる人が一人でも居て良かったです。
記事を書いた甲斐があった!

匿名 さんのコメント...

参考になりました。

さらに4ピンとか5ピンとかいうのがいるのは、
どう料理したら良いのか困りますね。

向町テツロー さんのコメント...

参考になりましたら幸いです。
4ピン5ピンはもはや手が出せません。オーディオ周りは魑魅魍魎が跋扈する世界ですよね。

匿名 さんのコメント...

変換を作ろうと思ってピン番号を検索してこのサイトにやってきました。参考になりました。私もダメもとでメーカーに問い合わせてみます

向町テツロー さんのコメント...

参考になりましたら幸いです。
やはりこのmini XLRのピン番号は色んな人が困ってるんですねぇ。

匿名 さんのコメント...

ありがとうございました。謎がとけました!!

向町テツロー さんのコメント...

参考になりましたら幸いです。
この記事、いろんな人に読んでもらえてるみたいで嬉しいです。

匿名 さんのコメント...

ワイヤレスマイクの有線部分を延長するコードの自作をするのに参考になりました。ありがとうございます。

向町テツロー さんのコメント...

参考になりましたら幸いです。
ワイヤレスマイクの有線部分だと、まずスペックシートには詳細が載ってない部分だと思います。自作、頑張ってください!

Unknown さんのコメント...

参考になりました あkgで困ってました

向町テツロー さんのコメント...

参考になりましたら幸いです。
AKG、良いマイクをお使いですね。シールドの結線の違いでマイクが壊されませんように、祈っております。

匿名 さんのコメント...

http://www.mouser.jp/ProductDetail/REAN/RA3MT-B/?qs=YTQiE72mYlIhzBPVF1xvfA%3d%3d

七つ星 さんのコメント...

質問があります。
オヤイデのミニキャノンからステレオフォンケーブルの変換ケーブル制作例
http://www.oyaide.com/diy/diy9.html
を見ると、「ミニキャノンの場合通常のキャノンと結線方法が異なり、3番がHOTになります」との記述があります。
私も、中国製のヘッドセットマイクで出力端子がmini XLR(ミニキャノン)の物を買ってしまい、変換ケーブルで困っていました。
いま、まさに変換ケーブルを作ろうとしていたところで、このページに行きつきました。
3pin Hotなのか、2pin Hotなのか、、
ちょっと急いでいて、メーカーに問い合わせる時間が取れないので、
どのメーカーのどんなマイクを購入されたのか教えて頂けないでしょうか? または、モザイクかけた組み立てず公開できないでしょうか?
ぶしつけですみません。

七つ星 さんのコメント...

AKGのミニ3ピンXLRは、2pinをHot、1pinをマイナスにしていますね。オヤイデの記述が変なのかなぁ。 購入した中国製のヘッドセットマイクを仲介している業者に、質問出来るのが分かったので、質問をしました。
帰郷編で述べられているのが正しいのかもしれません。

七つ星 さんのコメント...

解決しました。私がYahooショッピングで購入したのは、中国製のPerfk JY-526D Mini XLR 3pinというものです。
あれこれいじっていたらMini XLRコネクタのスクリュー蓋?を開けることができ、中を覗くことが出来ました。
  1pin Shield 2pin NC 3pin Hot
でした。
お騒がせしました

向町テツロー さんのコメント...

ちょっと風邪を引いて寝込んでましたので、今日の今までコメントを拝見しておりませんでした。
解決済みで安心しました。

梅酒大王 さんのコメント...

七つ星さまへ

AKGのワイヤレスSR40シリーズ所有しています。ギター用のケーブル(フォンーーミニXLR)がありますが、1番シールド2番ホットで3番がNCのようです。ご確認ください。
ピンアサインは向町さんのご指摘のとおりです。
でしゃばってごめんなさい。

七つ星 さんのコメント...

梅酒大王様

私の11月1日の投稿には、

「AKGのミニ3ピンXLRは、2pinをHot、1pinをマイナスにしていますね。」

と記述しています。 1pinマイナスとは、シールドのことです。

https://www.amazon.co.jp/FREEBOSS-HS-13S2-L5A%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E8%80%B3%E3%83%98%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%B3-%E5%90%8A%E3%82%8B%E3%81%99%E7%84%A1%E6%8C%87%E5%90%91%E6%80%A7%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E8%82%8C%E3%81%AE%E8%89%B2-AKG%E3%83%9C%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%AF%E7%94%A8%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%BF-%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0/dp/B07FH7K5QQ

梅酒大王 さんのコメント...

七つ星さまへ
了解いたしました。
昨夜再調査しましたところAKGのWMW40
ワイヤレスシステムの取説中に「ピン1:グラウンド ピン2:オーディオ ピン3;電源供給(4v) 」と記述されていました。コンデンサーマイクが相手なので納得しました。前回申し上げたギターケーブルのピン3NCなのも納得です。
結局AKGのミニXLRは1ピンが常にグランドで、ヘッドフォン等の製品相手には23をLRに振り分け、ワイヤレスシステムなどには前述の使い方をしているようです。
失礼しました。

七つ星 さんのコメント...

まとめてくださってありがとうございます。私も、良く理解できました。