2020年4月12日日曜日

おろしや国無酔譚 ウラジオストク滞在記 (15)

おろしや国無酔譚 ウラジオストク滞在記もくじ

沿岸地方行政政府ビル前の「アンドレイ・イシェンコの落選はおかしいんじゃないか?デモ」から離れた我々は、その沿岸地方行政政府ビルの前にあるデカい広場で写真を撮りつつバスの到着を待った。

この巨大な広場でまず目についたのは、フェリーからもその威厳が金ピカ玉ねぎの太陽光ダイレクト反射という形で溢れ出ていたロシアの教会。

改修中(?)の教会
普通の人には残念かも知れないが、クレーン好きの自分としては
最高のタイミングでの訪問だったと言える

この教会、非常に格好良いし、十分デカいし、立派なのだが、なにげにちょっと謎な教会なのである。

かのGoogle様で「ウラジオストク 教会」と検索しても実はヒットしない……。近くにある小さな教会は出てくるのに、だ。
そして Google Maps様で頭上から直接眺めても「スパソ=プレオブラジェンスキー・カフェドラリニ・サボール」と書いてあるだけで、なんのこっちゃ判らない。
さらに、真偽は不明だが、あの「地球の歩き方」にも載ってないそうだ。

ついでにもう一つ言うと、NHKの「世界ふれあい街歩き」でウラジオストクが紹介された時、この教会の「金の玉ねぎ」の部分は無かったのだが、その収録はなんと2018年の9月に行われているのである(「世界ふれあい街歩き ウラジオストク編」)。


動画からの画像引用(NHK)

僕がこの謎の教会の写真を撮ったのは2018年の9月17日である。9月のほとんど真ん中の日。
NHKの収録が何日だったのかは知らないが、17日の前後には2週間しかない。その2週間でこの「金の玉ねぎ」の施工、もしくは撤去が出来るとはとても思えないのだ。

この教会は一体なんなのか?
誰がなんのために建造したのか?
いや、実は実在しないのではないか?
すべては幻……?
一炊の夢、なのか?

そんな格好良い「謎の教会」なのであった。

広場に佇む銅像たち
おそらく革命的ななにかのアレだろう、きっと。
下に居る人と比べてください。デカいんですよ、これ。

そうこうするうちにバスが来て、慌てて飛び乗れば、結構混んでる上に、運転が超荒い!

まず出発は「ドア開きっぱなしで出発進行OK!」なのである。
車線変更は「バス優先じゃボケ!すっこんでろ!」なのである。
ブレーキは「思いっきり踏んで最短距離で停車!」なのである。

通勤用に人数を稼ぐ仕様なのか、バス内部は椅子が後部にほんの少しあるだけで、前半分はがらんどうで手すりも無い。
そんなバスの中央部に、デカいロシア人に囲まれながら突っ立っていたが、予想を遥かに越える「ロデオバス」の挙動に思わずコケそうになり、隣りにいた若いロシアの兄ちゃんの腕をギュッと掴んでしまうという乙女のような失態をしてしまった(恋は芽生えませんでした)。
ロシア語の「すみません」を知らなかったので、得意の「すみません顔」を作り、なんとかその場をしのぐものの、バス車内には若干の気まずい雰囲気が漂ってしまい、それでも荒れ狂うロデオバスは予定通り無事に目的地の展望台下まで到着したので、神なるスピードでそそくさと下車し、ようやく平穏で安寧な日常生活 in ロシアを取り戻すことができ、ホッと一息ついたのだった。

予定では、ここで引き続きケーブルカーに乗車し一直線に展望台を目指すと聞いていたが……。
あれれ?
ケーブルカーが「下り」しかない……ぞ?

旅先案内人・井上くんが説明する
「ま、本来ならここでケーブルカーに乗って、”一旦下に降りて”から、またここへ帰ってくる予定だったんですけども、今日はちょっと、もう時間も無いという事で、このまま展望台まで行っちゃいましょう!」
「へ?」

旅行乗っかり人・テツローは聞き返す
「こっからまだ歩かなあかんの?」
「そうです!展望台はまだ先です!はい行きますよ!」


展望台付近の地図

自分の個人的な予想では、「バスから降りてケーブルカーの駅までは徒歩で移動、ケーブルカーを降りればそこが展望台」だと思っていたのだが、実際は、「バスが着くのがケーブルカーの頂上駅付近で、展望台はケーブルカーの頂上駅とは関係ない場所に存在する」という、観光地のケーブルカーと展望台という関係性からはなかなか想像し難いものになっていたのだ。

「ケーブルカーに乗って展望台へGO!うきうきプラン」が虚空の彼方へと消え去った事で、僕のやる気ゲージは「E」を通り過ぎた漆黒の闇<ブランク>を指すようになっており、心はすでに「もはやこれまで」モードへとシフトチェンジを果たしていたが、風景写真が最も美しく撮れる時間帯であるマジックアワーを逃したくない井上くんは、「早く!早く!」と僕に駆け足まで要求して展望台まで行かせるのである。
鬼である!
悪魔である!



そしてバス停から、

(1) 綺麗だが怪しい地下道
(2) ボロボロの歩道橋
(3) 崩壊寸前の階段
(4) 細くて薄暗い地道

という、まるでRPGの最終ボス戦の前のような道のりを経て、ようやく展望台へと辿り着いたのである。

マジックアワー終了はもう間近だ!
果たして撮影に間に合ったのか?

(16) につづく
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