さて、無事に境港を出港した我々は、夜通しわっしょい、わっしょいと真っ暗な日本海を韓国の東海(トンヘ)港へ向けてひたすら進むのだった。
今回お世話になった「DBSクルーズフェリー」の事について軽く触れておくと、境港・東海・ウラジオストクの三港を週一往復で結んでいるフェリー会社で、本社は韓国にある。
使用している船の名は「EASTERN DREAM(イースタンドリーム)」といい、元々は日本のカーフェリーだったのを譲り受け、改造して客室等を拡充して運用している。
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いたるところにイタズラ的にイラストが貼ってある よく見ないと見つからない小さなモノもあるので、 こういった小ネタを探すのも楽しい (「ネタばらし」になるのでこれ以上はここでは紹介しません) |
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船体にダイレクトに描かれている絵も多い これは僕が一番気に入った絵 |
カーフェリーなので当然車も積めるし、なんなら日本車はロシア国内でもロシアのナンバープレートを取得しなくてもそのまま乗り回せるらしいので(未確認情報 笑)、「ウラジオストクでの足は俺の車さ!」という格好いい事も出来ます。
カーフェリーとしてはそんなに大きなクラスではないけれど、シャワー室もお風呂もカラオケルームもレストランもバーもコンビニも免税店も、さらにはナイトクラブもあるので、船の設備としてはかなり充実してます。
それぞれの設備が「充実している」かどうかは別として(笑)
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デッキには謎の「板の間」もある 強風の吹きさらしの中、語り合う人達 |
ただ、このフェリーには客船としての最大級の弱点がある。
それは、「船の進行方向を見ることが出来ない」という点。
船上のデッキはなんと船首方向が立ち入り禁止区画なのだ。
つまり、みんなの大好きな「タイタニックごっこ」は一切出来ないのである!(笑)
あと、個人的には「古いアーケードゲーム」がなかったのも悲しかったです。
カーフェリーと言えば、古いアーケードゲームなのに!(笑)
ちなみに「高い客室」を取れば、船内から船首方向が見れます。
めっちゃ高いですけどね(笑)
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デッキから空を見るといきなり天の川が確認出来る 安いカメラでも星が映るぐらいに周りが暗い 船の進行と揺れで「のの字」を描く星々 |
とにかく、船に乗るとほとんどの時間は「360度水平線地獄」で、しかもその大半が「真っ暗闇」だったりするので、暇つぶしは重要になる。
僕はこの暇つぶし用に「麻雀を持っていこう!」と提案したのだが、「いや、重いし、やる相手が居ませんって!」という冷徹な一言を井上くんからもらい、これを断念した。
僕の提案は大体却下される運命にある(笑)
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来たるべきロシア上陸に向けてルーブルを確認する私 のちにこの1000ルーブルが波紋を呼ぶことになるとは、この時は知る由もなかった (ちなみに船内では円・ウォン・ドルは使えるがルーブルは使えない) |
やることがほとんど何もないので、僕はあっさり寝る事にし、その代りに夜明け前に起きて朝日を見ようと計画した。
実は、それまで水平線から昇る朝陽というのを見たことがなかったのだ。
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朝の四時に起き、寒風吹きすさぶ甲板で震えながらラーメンを食べる 普段は塩ラーメンだが、寒い時は絶対みそラーメンだ! |
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デッキに居るのは自分一人だけという貸し切り状態 誰も朝陽に興味無いのだろうか……? 震えながら太陽を待つ |
一体何時に朝陽が昇るのかを知らなかったので「四時から起きといたら余裕で間に合うやろ」ぐらいのノリでデッキへと飛び出したら、そこからなんと2時間半も寒さに震えながら太陽が昇るのを待つことになってしまった。
そして、そこまでして待ちに待った朝陽であるが、結局、「分厚い雲に遮られて薄ぼんやりと全体的に明るくなる型の朝」という最悪の結果が待ち受けており、見ることは叶わなかった。
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どうやらこれで太陽は昇ったようだ…… 俺の二時間半を返せ! |
ちくしょー!という思いと共に、明るくなった事でデッキに出てきた人達と入れ替わるように船内に戻る私。
ベッドに飛び込むとそこから急速に記憶はなくなり、次に記憶が復活するのは
「テツローさん。テツローさん。もうトンヘに着きますよ?」
という声を聴いてからの事だ。
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