散策に不必要な荷物はカプセルホテル内にプライベートメンバ関数として保管しカプセル化した我々は、いよいよウラジオストクの「おもしろ楽しい方面」へと向かって、ずいずいと摺り足で進み始めた。
「どこ行きます?」と井上くんに訊かれたが、ウラジオストク市街に関する情報量がゼロでこの旅行に挑んでいる私には「腹減った」という一言以外はなにも発する言葉はなく、とりあえず「なんとなく雰囲気で面白そうなところでご飯を食べよう」という事になった。
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移動中に見つけた「羽マーク」の日野トラック 日本ではもうほとんど見ることがなくなったがロシアでは健在であった |
てくてく歩いていると街を貫くようにデカイ遊歩道があり、遊歩道の先は海に通じていた。それを見た我々は孵化直後のウミガメのように、海へ海へと吸い込まれるようにその遊歩道を進んで行く。もちろん、その道が緩やかな下りで、他の道が上り坂だったからという物理的体力的な要因もあるが。
海へと向かう遊歩道は完全なる逆光だったため、僕はサングラスをした上にしかめっ面で歩いていたのだが、この通りでしかめっ面をしていたのはおそらく僕だけだったのではないだろうかと、そう思うぐらい、この遊歩道・広場は楽しそうな人達ばかりだった。
自分の持っていた旧ソ連から続く「なにか得体の知れない国」、「暗く陰鬱な表情の人達の国」という印象はここで(一旦)一気に破壊された。
それぐらい、ここに居る人達は活き活きとし、楽しそうでのびのび自由にすごしていた。正直に言うと、羨ましいとさえ思った。いや、本当に。
この遊歩道からビーチ周辺は、興味深かったり、関心したり、写真を撮ったりと、観光で散策するには大変良い場所なのであるが、この時はとりあえず「腹が減っている」という生理的欲求もあったので、一番最初に見つけた半分オープンテラスのどんな料理を出すのかもよく分からない店に「今後の作戦会議もする」という名目で入店することにした。
言葉の通じない国での料理の注文方法は、料理の写真を指さして「これ!」と言う「これくれ式注文メソッド」が有名かつ有効だ。当然、我々も己が人差し指に魂を込め、初めて見る料理写真に一撃必殺の「これ!」を決めようとしたのだが、ここでちょっと不思議な事が起こった。
観光客向けに英語で書かれた写真満載のメニューには、美味しそうな肉料理が並んでいたので、一人一品ずつ頼んだ後、もうちょっと味見してみたいという気持ちで3品目を指差すと、カウンター内に居る3人の従業員全員がものすごい勢いで「それは出来ない!」とばかりに猛烈に手を振って拒絶するのだ。
はじめは、「もしかして一品ずつの量が多くて、全部食べれるか心配してんのかな?」や「金持ってないと思ってるんか?」と考え「わしらはロシア人に比べてチビやけど、食べれるんやジェスチャー」や「さりげなく財布を出して現金持ってまっせアピール」をしたが、それでも3品目を指差すとさっきまでの笑顔が消え失せ、鬼の形相で手を振って「ノー!ノー!」と言ってくる。
これはもしかして「ロシア的な『食い合わせ』の問題なのだろうか?」や「指をさす順番に問題があるのだろうか?」と考え、様々なパターンを試してみたが、いずれも二品目まではニコニコ顔でうんうんと聞いてくれるのに、3品目を指差した途端「それは出来ねえっつってんだろ!」的な表情で拒絶をされる。
最終的には「一旦店を出て5分後に来ると3品目の注文も出来る」や「別の店で香草を買ってそれを見せると3品目を作ってくれる」という昔のアドベンチャーゲームさながらな解決法も思いついたのだが、いかんせん腹が減っていてそれを試そうと思う精神的余裕がなく、不本意ながら二品だけ頼んで我々はテーブルについた。
注文に手間取った上、炭火でじっくり焼き上げる料理だったため、テーブルに料理が到着するまでの時間が非常にもどかしく感じられたが、料理は予想のはるか上を行くほど美味しかった。
そして、このお店でのやり取りで「ロシア人は案外陽気で気さくでオチャメやな」と、ロシア人への認識がさらに良い方へと変わっていった。
(13) へつづく
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幅の広い遊歩道が整備されている 土地のある国は羨ましい |
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海の近くでは遊歩道に土産物屋の屋台もでてる |
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スケボーで遊ぶ人々を発見! まさかロシアでPennyを見るとは! この旅行にスケボーを持っていこうと提案し、 「重いし要らないですって!」と井上くんに拒絶された事が 走馬灯のように思い出される |
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インラインスケートの練習をする人達もいる 自分の持っていた「ロシア感」が完全に破壊された |
海へと向かう遊歩道は完全なる逆光だったため、僕はサングラスをした上にしかめっ面で歩いていたのだが、この通りでしかめっ面をしていたのはおそらく僕だけだったのではないだろうかと、そう思うぐらい、この遊歩道・広場は楽しそうな人達ばかりだった。
自分の持っていた旧ソ連から続く「なにか得体の知れない国」、「暗く陰鬱な表情の人達の国」という印象はここで(一旦)一気に破壊された。
それぐらい、ここに居る人達は活き活きとし、楽しそうでのびのび自由にすごしていた。正直に言うと、羨ましいとさえ思った。いや、本当に。
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小さいながらもビーチもある 地面は砂浜というよりは砂利である 泳いだり日光浴をしたりと人気のビーチのようだ 右上の観覧車は遊園地 |
この遊歩道からビーチ周辺は、興味深かったり、関心したり、写真を撮ったりと、観光で散策するには大変良い場所なのであるが、この時はとりあえず「腹が減っている」という生理的欲求もあったので、一番最初に見つけた半分オープンテラスのどんな料理を出すのかもよく分からない店に「今後の作戦会議もする」という名目で入店することにした。
言葉の通じない国での料理の注文方法は、料理の写真を指さして「これ!」と言う「これくれ式注文メソッド」が有名かつ有効だ。当然、我々も己が人差し指に魂を込め、初めて見る料理写真に一撃必殺の「これ!」を決めようとしたのだが、ここでちょっと不思議な事が起こった。
観光客向けに英語で書かれた写真満載のメニューには、美味しそうな肉料理が並んでいたので、一人一品ずつ頼んだ後、もうちょっと味見してみたいという気持ちで3品目を指差すと、カウンター内に居る3人の従業員全員がものすごい勢いで「それは出来ない!」とばかりに猛烈に手を振って拒絶するのだ。
はじめは、「もしかして一品ずつの量が多くて、全部食べれるか心配してんのかな?」や「金持ってないと思ってるんか?」と考え「わしらはロシア人に比べてチビやけど、食べれるんやジェスチャー」や「さりげなく財布を出して現金持ってまっせアピール」をしたが、それでも3品目を指差すとさっきまでの笑顔が消え失せ、鬼の形相で手を振って「ノー!ノー!」と言ってくる。
これはもしかして「ロシア的な『食い合わせ』の問題なのだろうか?」や「指をさす順番に問題があるのだろうか?」と考え、様々なパターンを試してみたが、いずれも二品目まではニコニコ顔でうんうんと聞いてくれるのに、3品目を指差した途端「それは出来ねえっつってんだろ!」的な表情で拒絶をされる。
最終的には「一旦店を出て5分後に来ると3品目の注文も出来る」や「別の店で香草を買ってそれを見せると3品目を作ってくれる」という昔のアドベンチャーゲームさながらな解決法も思いついたのだが、いかんせん腹が減っていてそれを試そうと思う精神的余裕がなく、不本意ながら二品だけ頼んで我々はテーブルについた。
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お店のストーブ前(焼き方)のおばちゃん 我々のカメラを見つけると「撮れ撮れ」とアピールしてポージング 撮った写真を見せると「わー!&%@$#>*!(ロシア語)」と喜んだ この時我々二人が思っていた気持ちは 「おばちゃん、はよ焼いてくれ」である(笑) |
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お店の従業員の女性 右側に居るストーブ前のおばちゃんを「わっ!」と驚かせようと隠れている この女性とは後に別の場所で劇的な再会をすることになる |
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これは手羽先の串炭火焼き テバスキーな私のチョイス |
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これは井上くんが注文した豚肉の串炭火焼き この豚肉の美味さが今回の旅行での食事の方向性を 決定づけたと言っても過言ではない! 「シャスリーク同盟」が結成された瞬間である (「シャスリーク」という串料理の名前だと思っていたのだ) |
注文に手間取った上、炭火でじっくり焼き上げる料理だったため、テーブルに料理が到着するまでの時間が非常にもどかしく感じられたが、料理は予想のはるか上を行くほど美味しかった。
そして、このお店でのやり取りで「ロシア人は案外陽気で気さくでオチャメやな」と、ロシア人への認識がさらに良い方へと変わっていった。
(13) へつづく
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